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アメリカンペイトリオット 合田直弘

 様々な魅力に満ち溢れている アメリカンペイトリオット だが、まず真っ先にご紹介したいのが、現役時代に見せたレース振りである。  競馬で勝つために重要な要素のひとつが「スピード」であることは言うまでもないが、ひと括りに「スピード」と言ってしまうと、その概念は非常に幅広く、解釈の齟齬が見解の相違を生むことになりかねない。  例えば、テンからガンガン飛ばして行くダッシュ力も「スピード」であり、競馬に勝つために必要な形質ではあるが、しかし、日本の競馬でことさらに有用なのは、こういうスピードではない。日本の競馬で勝つために求められるのは、溜めることが出来て、なおかつ、使いたいという局面で間髪を入れずに使うことが出来る、タクティカルなスピードである。  「瞬発力」あるいは「切れ味」という言葉に代弁されるスピードこそが、日本で勝ち抜く上で極めて重要な形質なのだ。今や、世界のトップと互角に渡り合えるようになった日本産馬だが、国際舞台においても、日本馬の特性は「瞬発力」というのが既に通り相場となっており、日本馬は「切れ味」を最大の武器として、海外の強豪たちと相まみえているのである。  アメリカンペイトリオットとは、類い稀なスピードをタクティカルに使える馬であった。同馬が制した、 2017 年 4 月 14 日にケンタッキー州のキーンランド競馬場で行われた、 G1 メイカーズ 46 マイル(芝 8f )の映像を、ぜひご覧いただきたい。好スタートを切りながら、前半は中団後ろ目に待機。アメリカの競馬らしく 3 ~ 4 コーナー中間からペースが上がった中、ジワッと番手をあげながらも、直線残り 300m