産駒の高い勝ち上がり率で注目を集めているパイロ。週末のJRA開催では、ラーナアズーラが新馬戦に勝利、アフターバーナーも新たな2歳勝ち馬となった。さらに、古馬のパイロキシン、シンダーズも勝利して、今週末だけで計4勝を上げる活躍ぶりであった。芝、ダート、世代不問の万能な走りをみせるパイロの注目度は高まるばかりだ。 

79 ()、函館競馬場で行われた2歳新馬 (1200m) に出走したラーナアズーラ。内枠からスタートし好位置3番手の内でレースを運んだ本馬は3〜4コーナーで馬群に包まれ窮屈になる場面もあったが、焦らずに好機をうかがって直線へ。直線で外に持ち出され、ジョッキーの指示に鋭く反応したラーナアズーラは、残り150m付近で前2頭をあっさりと交わし、ゴール前は抑える余裕すらみせる走りでデビュー戦に勝利した。レース後、陣営からは「函館2歳Sを視野に入れて調整します」とのコメントが出されている。

ラーナアズーラは日高町・アイズスタッド生産。母グロッタアズーラ、母の父フジキセキという血統の2歳牝馬。母グロッタアズーラは、競走年齢に達した産駒全てがJRA勝ち馬となっている。

 

ラーナアズーラ (2014年生・牝・栗)

父パイロ 母グロッタアズーラ 母の父フジキセキ

馬主 () グランデオーナーズ 様

美浦 畠山 吉宏 厩舎

日高町 アイズスタッド 生産

 

翌、710 () 、福島競馬場で行われた2歳未勝利戦 (ダート1150m) ではアフターバーナーが勝利し、新たな2歳勝ち馬となった。前走のデビュー戦を2着としたアフターバーナーは、圧倒的な1番人気に推されての出走。スタートから押して積極的に好位を狙ったアフターバーナーは逃げ馬を前にみながら2番手で道中を運ぶ。直線に入り追い出しに入ったアフターバーナーは力強い末脚で一完歩ごとに前に迫り、ゴール手前で差し切ると最後は抑える余裕をみせ、デビュー2戦目で勝ち馬となった。 

アフターバーナーは日高町・ダーレー生産。母ファダラン、母の父Cherokee Runという血統の2歳牡馬。本馬の半兄にはJRA2勝をあげたボウマンミル、叔父には1991年のBCジュヴェナイル (G1)、グランクリテリヨム (G1) などに勝利し、同年のカルティエ賞年度代表馬となったアラジ (種牡馬)2001年のサセックスS (G1) などに勝利したノヴェール (種牡馬) がいる。

 

アフターバーナー (2014年生・牡・鹿)

父パイロ 母ファダラン 母の父Cherokee Run

馬主 H.H.シェイク・モハメド

美浦 伊藤 圭三 厩舎

日高町 ダーレー 生産

 

また、79 () の福島競馬場ではパイロキシンが3歳上・500万下 (ダート1700) に勝利し、710 () の中京競馬場ではシンダーズが3歳上・500万下 (1600m・牝馬) に勝利し、それぞれ自身にとっての3勝目をあげている。

 

パイロキシン (2012年生・牡・栗)

父パイロ 母イシノスティール 母の父ラムタラ

馬主 加藤 徹 様

美浦 柴田 政人 厩舎

新冠町 大狩部牧場 生産

 

シンダーズ (2012年生・牝・青鹿)

父パイロ 母キュームレイト 母の父Gone West

馬主 H.H.シェイク・モハメド

栗東 荒川 義之 厩舎

日高町 ダーレー 生産

 

パイロの父プルピット (Pulpit) は、種付料30万ドルを誇るアメリカのトップスタリオンであるタピット (Tapit) や、2014年の米年度代表馬カリフォルニアクローム(California Chrome) の父ラッキープルピット (Lucky Pulpit) ら数々の成功種牡馬を送り出す不世出のサイアーオブサイアーズ。現役時にはフォアゴーS (G1)を制しアメリカのトップマイラーとして君臨したパイロも、初年度産駒であるシゲルカガが北海道スプリントカップ (Jpn3) に勝利、さらに地方重賞を制したタービランス、ブラックヘブン、シャークファング、インディウム、ミスアバンセ等を送り出し成功を収める。とりわけ現3歳世代は、JRAにおいてビービーバーレルがフェアリーS (G3) を制覇、またメイショウスイヅキはもみじS (OP) に勝利するなど芝のレースでも産駒が躍進。勝ち馬率の高さも大きな注目を集めている。